根太工法から剛床工法へ
根太工法で作られていた家の床を解体して新たに剛床工法で床を作り直すことにしました。
工事の様子を記事にしてみましたので是非ご覧ください。
根太工法とは
根太工法は、大引きの上に根太をかけて12ミリの構造用合板とフローリング材を貼って仕上げます。
日本の住宅で古くから採用されてきた工法で、通気性が良くリフォームしやすいという特徴がある一方で地震に対する水平力では剛床工法よりも劣ってしまうという特徴があります。
剛床工法とは
剛床工法は、大引を枡目状に組み24ミリ以上の構造用合板とフローリングなどの床材を貼って仕上げる工法です。
地震に対する水平力に強く工期の短縮が見込める一方で、合板の厚みで床をもたせているので湿気に注意して施工する必要があります。
剛床工法なら天井を高くすることが可能
剛床工法にすることで床の高さが現在よりも5センチほど低くする事ができるので、その分天井を高くすることができます。
この家はこれまで天井が低く圧迫感があったので剛床工法に変更して開放感を得たいと思います。
材料費はどっちが安い?
DIYで工事をする場合には工賃と言われるものがかかりません。
そこで気になるのは材料費となる訳ですが、根太工法と剛床工法ではどちらが材料費を抑えることができるのでしょうか。
インターネットで検索すると根太工法よりも剛床工法の方が費用を抑えることができるという記事を多く目にしましたが、実際に27坪の平屋の材料費を計算してみると根太工法のほうが約1万円ほど安くなる結果になりました。
ただ1万円の差程度だと家の構造や材料ごとの単価によっては逆の結果になることも十分に考えられる範囲かと思います。
これはあくまでリフォームの場合ではありますが、根太工法も剛床工法も材料費に大きな違いはないということです。
ですのでどちらの工法がよりメリットを得られるかを考えて工法を決めると良いかもしれません。
大引きの施工
大引きというのは土台と同じように家の床を支える構造材の一つです。
一見すると土台との違いがわかりずらいですが、土台との違いは基礎の上に敷かれているか否かです。
基礎の上に敷かれていて基礎とボルトで緊結されている状態のものを土台といい、
束によって支えられている状態のものを大引きといいます。
建物の短手方向の施工
短手方向に大引きを渡します。
使用する材料は桧のKD材で長さは4メートルです。
まずは家の短手方向(黄色い部分)に大引きを施工していきます。
KD材 : 人口的に乾燥させた材木
AD材 : 自然に乾燥させた材木
グリーン材 : 乾燥させていない材木
大引きは図のような腰掛け継ぎという簡単な仕口で渡していきます。
男木は1~2ミリほど長く作ってカケヤで叩いて収めるくらいが理想的なのですが一発でスカッと収めるのは難しいですね。
男木 : 凸側の材木のこと
女木 : 凹側の材木のこと
曲がった材木も下側にたわませて施工しておけば束を伸ばすことで水平に修正することができる。
既存の仕口があるところは既存の仕口に合わせて男木を刻みます。
短手方向の大引き施工が完了。
長手方向の施工
次は長手方向(黄色い部分)にも大引きを渡していきます。
完成イメージはこんな感じ、
とおり芯の墨を打つ
まず始めに長手方向の大引きを収めるとおり芯を打ちます。
墨ツボを使えばまとめて芯墨を打てます。
とおり芯を出しておくことでこれを基準に墨付けができるので作業効率が上がります。
女木側の墨付け
仕口はすべて腰掛け継ぎで施工します。
同じ墨付けをいくつもする場合にはスケールストッパーがあると重宝します。
女木の刻み
墨線を残すように切込みを入れます。
墨線から少し逃がして上から鑿で少しずつ刻みます。
ある程度刻んだら最後は手で整えます。
腰掛け継ぎの受け側の完成です。
男木の切り出し
男木となる材料の長さは計算上では835㎜ですが、リフォームの場合には木がやせていたり曲がっている事も多いので実寸を測って材料を切り出します。
切り出した材料は砂切りをして芯墨を打っておきます。
砂切り:材木の端を切り落とすことで挟まった小石や砂から大工道具を守り、角を整えること。
男木の墨付け
男木の墨付けも至って簡単です。
男木の刻み
丸ノコの刃を切込み深さに合わせて固定します。
墨線に沿って切り込みを入れます。
鑿で軽く叩いて不要な部分を取り除いたら切り口を整えます。
鉋をかけた時に材料の端が割けないようにあらかじめ鑿で角を落としておきます。
最後に鉋で面取りをしたら男木の完成です。
組付け
女木と男木の加工が終わったら短手方向に渡した大引きに組付けていきます。
カケヤで叩いて収めるくらいがベストです。
まとめ
剛床工法は工期が短いというのがメリットの一つですが、これは新築(プレカット)の場合ですね。
リフォームのように手刻みで施工する場合は27坪の平屋でも60本ほど材料を刻むことになり気が遠くなるほどの時間がかかりました。
でもそんな気が遠くなるような状況を救ってくれたのがマルチツールでした。
マルチツールを使うことで鑿で刻むのが困難な大きな節でも簡単に刻むことができたので私のような素人でも短時間で仕口を刻む事ができました。
仕口を刻む工程が多い作業をされるならおすすめのツールですね。
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