エンジンがかからない理由を探る!
バイクに乗ろうとした時にエンジンがかからないと非常に困りますよね。
しかし、長い間エンジンをかけていなかったバイクではよくある現象です。
では、こんな時はどのように対処したら良いのでしょうか。
やみくもにエンジンをかけようとしてもなかなか上手くいかない事が多いです。
そればかりか、かえって事態を悪化させる事も珍しくありません。
この記事では、バイクのエンジンがかからなくなった時に点検をする箇所を3つに分けてわかりやすくお伝えします。
今回は、ヤフオクで不動の状態で購入した原付バイク(YAMAHAチャピィ)のエンジンがかからない原因を追究してエンジンがかかる状態にするまでを記事にしていますので参考にしてください。
エンジンの始動に必要な条件は3つ
エンジンの始動に必要なのは「良い圧縮」と「良い点火」と「良い混合気」と言われています。
この3点を順番に確認してエンジンがかからない原因を探っていきたいと思います。
「良い圧縮」を確認する
オークションサイトなどで出品されている不動車の説明文に、「圧縮あります」という文言を見かけた時はありませんか?
「圧縮あります」とは、どういう意味なの?と思いますよね。
これは、ピストンがシリンダーの内部でちゃんと上下運動できているかどうか、という事になります。
エンジンの燃焼室は密閉空間になっています。
密閉された空間でピストンが移動すると空気が押しつぶされて圧縮がかかります。
この圧縮がかかる事が確認できれば、エンジンとして最低限の条件を有している証になります。
圧縮の強い弱いはありますが、今回はそこは掘り下げないでお話をさせてください。
それではここからは圧縮が有る、無しを確認する方法を説明していきます。
圧縮の有無を確認する方法
~キックレバーがある車体の場合~
キックレバーを下げて「ポンポンポンッ」と音がすれば圧縮「あり」と判断してください。
キックレバーを押し下げる → クランクシャフトが回る → ビストンが往復運動をするという仕組みです。
~キックレバーがない車体の場合~ ※セルモーターが正常に動くことが条件になります。
1、スパークプラグを外す
2、プラグを外した穴を指の平で塞ぐ
3、セルを回す → 指の平に圧が伝わることで圧縮が確認できる
セルモーターを回す → クランクが動く → ピストンが動く → 圧縮がかかる という仕組みを利用した確認方法になります。
上記の方法で圧縮が確認できない場合は・・・
上記の方法で圧縮が確認できない場合には、エンジンの損傷が疑われます。
ピストンとシリンダが焼き付いてしまっているなど、エンジンに重大な損傷を受けている可能性があります。
ご自身で整備するのが難しい場合は、バイク屋さんに見てもらう事をおすすめします。
私のチャッピーは、キックレバーを下げた時に「ポンポンポンッ」と音がしたので「良い圧縮」があると判断しました。
「良い点火」を確認する
良い点火の確認は、スパークプラグから正常に火花が飛んでいるかを確認します。
「プラグがかぶっている」こんな言葉を聞いた時ありませんか?
これはスパークプラグの電極にカーボンが付着したり、ガソリンやオイルで電極が湿ってしまいスパークプラグから火花が飛んでいない状態を言います。
他にも火花が飛ばなくなる原因はいくつか考えられますが主な原因を紹介させていただきました。
ここからは実際に火花を確認する方法について触れていきたいと思います。
スパークプラグの確認手順
1、エンジンからスパークプラグを外す
2、外したスパークプラグにプラグコードを付ける
3、スパークプラグの外側の接地電極をエンジンフィンなどにアースする(くっつける)
4、セルを回す、もしくはキックレバーを下げる
5、プラグの中心電極と接地電極の間(電極隙間)に火花が飛べばOK!
下の画像はチャピィのスパークプラグです。
画像の赤丸の部分を良く見ていただくと分かると思いますが、火花が飛んでいることが分かります。
ちゃんと火花は飛んでいるのですが、碍子(がいし)と呼ばれる白い絶縁部分にヒビが入っていましたので点検後に交換しようと思います。
とりあえず、点火の確認ができましたので「良い点火」に関してもクリアできたと判断します。
スパークプラグを新品に交換しても火花が飛ばない場合には・・・
スパークプラグを新品に交換しても火花が飛ばない時は、プラグまで電気が来ていない事が考えられます。
こういった場合、プラグコードに原因がある場合が多くあります。
プラグコードの通電を確認してみましょう。
それでもダメな場合にはバイク屋さんにみてもらう事をおすすめします。
「良い混合気」を確認する
いよいよ最後の良い混合気の確認をします。
混合気というのは、ガソリンと空気を一定の比率で混合させた気体のことです。
理想的な混合気の比率はガソリン1に対して空気14.5の割合で混合させた状態の気体と言われています。
これを理論空燃比と言います。
混合気は、ガソリンタンクから供給されるガソリンとエアークリーナーから供給される空気をキャブレターという装置の中で丁度良い割合で混合させて作り出します。
作りだした混合気を燃焼室にタイミング良く噴射して爆発燃焼させることでエンジンが回転エネルギーに変換して動力を得ます。
これがエンジンの仕組みです。
ここで大事になってくるのは、ガソリンが爆発燃焼するだけの能力を持ち合わせているかどうかです。
ここからはガソリンについて触れていきます。
劣化したガソリンを抜き取って新鮮なガソリンに入れ替える
ガソリンは劣化します。
劣化したガソリンは本来持っている爆発燃焼する力を失っています。
なので燃焼室に噴射されても点火できなかったり、点火しても爆発燃焼する力が不足しているため、ノッキングを起こしやすくなります。
ノッキングを起こしてしまうと、エンジンにダメージを与えてしまいます。
このように長期間始動させていなかったバイクの燃料は新しい燃料に入れ替える事をおすすめします。
古いガソリンを抜き取る際は燃料タンクからキャブレターまでの燃料ライン内のすべてのガソリンを抜き取ります。
キャブレター内のガソリンも抜き取ります。
抜き取る方法は車種によって少し違いはありますが、下の図にあるようにキャブレターの下側にドレンを抜くコックのネジを緩めて古い燃料を抜き取ってください。
抜き取ったガソリンは劣化しているとは言え、可燃性の危険物になります。
排気処理する場合はガソリン携行缶に移し替えるなどしてガソリンスタンドに持ち込みましょう。
燃料ラインのすべてのガソリンを抜き取ったら、新しいガソリンを補給します。
新しいガソリンを入れたら、キャブレターまでガソリンが届いている事を確認してください。
確認方法は古いガソリンを抜いた時と同じ要領で行います。
キャブレターまでガソリンが届いている事を確認したら、エンジンの始動を試みます。
ここまで「良い圧縮」「良い点火」は確認できていますのでガソリンが原因であったのなら、ここでエンジンが始動するはずです。
私のチャピィも「圧縮」「点火」と異常がありませんでしたので、ここでエンジンの始動を試みてみます。
1キック「ポンポン」
2キック「ポンポンポン」
3キック「ポンポンポンぼス・ぼス・ぼス」 「ん?」
4キック「ボボブイ~ンぼボ・ぼボ・ぼボ」 「あっ、かかった」
なんと、4キックで始動に成功しました。アクセルを開けてもしっかりとふけ上がります。
原因はガソリンの劣化?
私のチャッピーのエンジンがかからなかった原因はガソリンの劣化が原因のようでした。
もう少し手こずるつもりでいたので、なんだか拍子抜けしてしまいましたが、ひとまずチャッピーのエンジンが生きている事が確認できたので私としてはホットしています。
新鮮なガソリンに入れ替えてもエンジンが始動しない場合は・・・
新鮮なガソリンに入れ替えてもエンジンが始動しない場合には、キャブレターの目詰まりや空気と燃料のセッティングがあっていない事が考えられます。
自分でセッティングするのが難しい場合はバイク屋さんに持っていく事をおすすめします。
今回の作業のまとめ
今回、私のチャピィは運良くガソリンの入れ替えのみでエンジンを始動することができましたが、多くの場合は今回のように簡単にエンジンを始動できる訳ではありません。
ここで紹介した「良い圧縮」「良い点火」「良い混合気」の確認はエンジンの状態を知るには非常に重要なに点検なります。
レストアをする場合には作業を始める前に必ずこの作業を行ってください。
作業の途中でエンジンが死んでいる事に気付いたらショックも出費も大きくなりますからね。
また、バイクのメンテナンスを行う場合は自分のできる範囲を知り、その範囲を超えたメンテナンスをしない事です。
自分のできる範囲を超えるメンテナンスになりそうな場合は、思い切ってプロにお願いする事もうまい整備と言えるのではないでしょうか。
この記事を読んでいただき、皆様の楽しいバイクライフの手助けになったなら嬉しく思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
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