足付けとは塗装業界の用語で、表面にキズを付けることをいいます。
なぜわざわざキズを付けなければいけないのか?というと、
古い塗膜にキズを付けることで新たに塗る塗装との接触面積が増え、密着性を上げることができるからなんです。
手の平をツルツルの鏡に擦りつけるのと、サンドペーパーに擦りつけるのとでは摩擦抵抗が違いますよね。これと同じ原理です。
足付けのやり方
足付けとは旧塗膜にキズを付けて新しい塗装との密着を良くする作業というのは分かっていただけたと思います。
足付けのキズは浅すぎも深すぎも好ましくありません。
キズが浅いと密着力が弱く剝がれやすくなり、キズが深いと塗装後もキズが残ってしまいます。
では、どれくらいのキズをつけたらよいのでしょうか?
足付けでは塗装の工程によって適した深さのキズを付ける必要があります。
ここからは具体的に各工程に適したキズを付ける方法を解説していきます。
サンドペーパーの番手は工程ごとに使い分ける
足付けに使うサンドペーパーの番手は塗装の工程ごとに使い分ける必要があります。
サフェーサーを塗装する前の足付けでは#320~#400の空研ペーパーを使用します。
ポイントは、足付けの範囲を広げ過ぎずにサフェーサーの塗装範囲はコンパクトにすることです。
サフェーサーがかからない部分に#400のキズを入れてしまうとカラーベースを塗装した際にペーパー目が出てしまうので注意が必要です。
カラーベースを塗装する前の足付けでは、#600~#800の耐水ペーパーでサフェーサー部分を研いだ後に塗装するパネル全体をスコッチブライト7448を使って足付けします。
スコッチブライトを使って足付けをする場合は、SUウォッシュコンパウンドを使うと効果的に足付けが可能です。
塗装の工程 | 種類 | 番手 | 備考 |
サフェーサー前 | 空研ぎ | #320~#400 | 足付けの範囲の広げ過ぎに注意! |
サフェーサー後 | 水研ぎ | #600~#800 | サフェーサー部分を水研ぎ |
カラーベース前 | 水研ぎ | スコッチ7448 | パネル全体を足付け |
足付けの範囲
足付けをする範囲はカラーベースを塗る部分だけではなくパネル全部に対して行います。
色がかからない部分にもクリヤーを塗装するからです。
なお、#600~#800のペーパーのキズはクリヤーを塗装することで消えます。
ペーパー目を出さないためには
足付けで使用するペーパーの番手が荒いと塗装をした後でペーパーのキズ跡が浮き出ることがあります。
これをペーパー目と言います。
ペーパー目が出てしまうと、せっかく塗装をキレイに仕上げても補修した感じが表面に出てしまい残念な仕上がりになってしまいます。
ベースカラーがソリッドカラーなら比較的ペーパー目は出にくいのですが、メタリックやパールカラーではペーパー目が出やすいので注意が必要です。
ペーパー目が出やすいケースとしては、メタリックやパールカラーの塗装前に空研ペーパーを使用して足付けをしてしまう場合です。
実は同じ番手のペーパーでも空研ペーパーと耐水ペーパーではキズの入り方(深さ)が異なります。
これは耐水ペーパーは水を付けて研磨するので水が潤滑剤の役割をしていることが理由と考えられます。
また耐水ペーパーは均等に同じ深さのキズを入れることができるに対して、空研ペーパーでは部分的に深いキズが入ってしまうことがあります。新しい空研ペーパーでは深いキズが入りやすいので注意が必要です。
足付け作業で使うもの
・空研ペーパー 【#320~#400】
・耐水ペーパー 【#600~#800】
・3Mスコッチブライト 【7448】
上記の他には、【SUウォッシュコンパウンド】があると便利です。
SUウォッシュコンパウンドをスコッチブライトに付けて塗装面を洗うことで洗浄、足付け、脱脂ができる便利アイテムです。
足付けのまとめ
・足付け作業は塗料を密着させるための大切な工程。
・塗装の工程によって使用するサンドペーパーの番手が違う。
・メタリックやパールの塗装ではペーパー目に注意して足付けを行う。
コメント