自宅ガレージで本格塗装に挑戦!スプレーガンでウレタン塗装をやってみる

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スプレーガンを使ってウレタン塗装に挑戦!

スプレーガン塗装

この記事は、元自動車塗装工の私が自宅ガレージでスプレーガンを使った塗装のやり方を書いたものです。

スプレーガンで塗装をしてみたいけど、どんな道具を揃えたら良いのかわからない。

スプレーガンを使った塗装は熟練の技が必要なのでは?

どのくらいの費用がかかるか知りたい。

「スプレーガンで塗装をやってみたいけど、何が必要でどうやってやったらいいか分からない」

缶スプレーを使っての塗装は手軽にできて良いのですが、仕上がりの良さではウレタン塗装にはかないません。

また、ウレタン塗装は耐ガソリン性があるのでバイクのタンクなどのガソリンが付着する可能性がある部分の塗装に適しています。

そんな方のお悩みを解決できればうれしく思います。

この様な疑問に一つずつお答えしていきます。

DIYでウレタン塗装をするのに必要な設備と道具

スプレーガンを使った塗装をするには最低限の設備を整える必要があります。

その中でもっとも高い壁になっているのがエアーコンプレッサーではないでしょうか。

エアーコンプレッサーはさまざまな用途に使えて非常に汎用性が高いアイテムです。

最近のエアーコンプレッサーは静音設計になっていて作動音も気になりません。

これを機に購入を検討してみても良いかもしれませんね。

研究室

必要な設備

品名仕様価格
エアーコンプレッサー1.5馬力・タンク容量30ℓ15,000円
エアーホース10ⅿ2,000円
エアーフィルター 3,000円
低圧スプレーガン口径1.315,000円
計量はかりキッチン用 (最小単位0.1g)1,000円
合計 36,000円

エアーコンプレッサー

スプレーガンを使用した塗装にはエアーコンプレッサーが必要です。

エアーコンプレッサーは最低でもタンク容量が30L以上、最高使用圧力が0.75Mpa以上のものが必要です。

バイクのパーツのように小さめの物ならタンク容量が30Lでも大丈夫ですが、車のドアパネルなど広い面積を塗装する場合には途中でエアーが不足してコンプレッサーが動き出します。

コンプレッサーが動き出すと空気圧が安定しないので、切りの良いところでコンプレッサーを作動させて空気を溜める必要があります。

サブタンクを接続すると一度に塗れる面積が大きくなります。

エアーホース

エアーホースには内径6.5㎜のものと内径8.5㎜のものがありますが、

今回は低圧での作業になりますので、内径6.5㎜のホースで十分です。

エアーフィルター

塗装をするにはエアーフィルターは必須アイテムです。

空気は圧縮されると水が発生します。

この水がエアーホースを伝ってスプレーガンから噴射されると塗装が台無しになってしまうからです。

また、オイルレスコンプレッサー以外のコンプレッサーを使用している場合にはエアーに微量に油分が混入しますので同じくエアーフィルターを設置する必要があります。

低圧スプレーガン

家庭用のコンプレッサーで使用する場合には低圧スプレーガンを選択してください。

特にこだわりがなければ工具ショップなどで3,000円くらいから入手できます。

計量はかり

計量はかりはキッチン用のはかりで代用します。

ただし、0.1g単位で測れるデジタル表示のものを用意します。

必要な道具(消耗品)

以下に塗装に必要な道具(消耗品)をあげてみました。

タッククロス以外はお近くのホームセンターで入手可能な物ばかりです。

品名仕様参考価格
調色カップ5個400円
攪拌棒5本250円
ストレーナー100枚900円
マスキングテープ1個100円
新聞紙0円
白メリヤスウエス1㎏500円
タッククロス1枚180円
合計2,330円

調色カップ

調色カップは、塗料を調合する際に必要になります。

ホームセンターなどで入手できます。

攪拌棒

攪拌棒は、プラサフ、カラーベース、パール、クリアーなど、数種の塗料を使う場合がありますので5本くらいあると便利です。

ホームセンターで入手できます。

ストレーナー

調色カップで作った塗料をストレーナーを介してスプレーガンに入れる事で異物の混入を防ぎます。

100枚入りが1,000円程で購入できます。

美吉野紙という和紙の濾し紙も使いやすくておススメです。

マスキングテープ

マスキングテープは、自動車補修用マスキングテープを使用します。

建築用マスキングテープを使用した場合は境目の仕上がりが悪くなる場合があります。

古新聞紙

養生には新聞紙を使います。

専用の養生紙もありますが無料で手に入る新聞紙で十分に養生することが可能です。

塗料がかかる部分は二つ折りにして2枚重ねで使えば塗料が浸透することはありません。

白メリヤスウエス

白メリヤスウエスは、シリコンオフで脱脂をする時や道具の洗浄時に使用します。

白ウエスにすることで洗浄時にしっかりと汚れが落ちたかわかりやすくなります。

着なくなった綿製の肌着などがあれば、それを丁度良い大きさに切って使えます。

タッククロス(タクロス)

タッククロスは、塗料の霧を吸着させて拭き取る道具です。

塗装をしていると舞上がった霧状の塗料が静電気でボディーに付着します。

この霧が付着したまま塗装を重ねると仕上がりが悪くなりますので、タクロスでこまめに拭き取ります。

必要な材料

品名仕様参考価格
シリコンオフ1L600円
ウレタンプラサフ(硬化剤付き)0.5㎏1600円
PG80 カラーベース0.5㎏760~2250円
SUクリアー0.5㎏900円
PG80 硬化剤200ℊ1100円
PGシンナー1㎏500円
洗浄用ラッカーシンナー1L500円
合計8,290円
必要な材料は色や容量によって価格が異なります。

シリコンオフ

シリコンオフは、脱脂の工程で使用します。

ここでいう脱脂とは塗装面の油脂汚れを除去する作業のことです。

その他にもステッカーや両面テープの糊を簡単に除去できます。

ウレタンプラサフ

ウレタンプラサフは、プライマー(密着剤)とサフェーサー(下地材)が合体した優れものです。

パテで補修した後や、地(金属)が出ている場合にプラサフを塗って下地を作ります。

ベース塗装の下地を作りつつ密着性を良くする効果があります。

他にもサビを防止する効果もあります。

PG80カラーベース

カラーベースとは、基本となる色の塗料です。

このカラーベースを調合して様々なカラーを作ります。

純正色には大体6~7色のカラーベースが使用されています。

ここでは関西ペイントのPG80という塗料シリーズを使って作業を進めていきます。

SUクリアー

SUクリアーとは、関西ペイントの商品でトップコート用のクリアーです。

トップコートとは、パールやメタリックの塗装の一番上に塗るクリアーの事を言います。

ソリッドカラーのトップコートに使用してもOKです。

※パールやカラーベースと混ぜて使用する場合は026クリアーという製品がありますので、そちらを使用します。

PG80硬化剤

PG80硬化剤は、PG80カラーベースやか各種クリアーに使用する硬化剤です。

PG80シリーズでは、カラーベース及びクリアーと硬化剤の比率は10:1で混ぜて使用します。

PGシンナー

PGシンナーは、PG80シリーズ専用の希釈用シンナーです。

ペンキでいう薄め液にあたり、

超速乾速乾標準遅乾超遅乾、この5つのタイプの中から気温や湿度に合ったシンナーを使用します。

カラーベースでは、50~70%の割合で、SUクリアーでは、5~20%の割合で希釈します。

ラッカーシンナー

ラッカーシンナーは、スプレーガンなどの道具を洗うために必要です。

洗浄用のラッカーシンナーは比較的安価で販売されています。

2液型ウレタン塗装の工程

塗装の工程

2液型ウレタン塗装の工程は大まかに以下に以下の順番で行います。

あらためて文字にすると塗装の工程の多さには驚きます。

塗装の値段が高いのも理解できますね。

  1. 足付け
  2. 脱脂
  3. マスキング(養生)
  4. プラサフの塗装
  5. プラサフ研ぎ(足付け)
  6. 脱脂
  7. マスキング(養生)
  8. ベースカラーの塗装
  9. クリアーの塗装
  10. 乾燥
  11. 磨き仕上げ

このような工程で塗装を仕上げていきます。

それでは、これらの工程を一つずつ解説していきます。

足付け

足付け

「足付け」とは、塗装面にキズを付けて表面積を増やす事で塗料の喰いつきを良くすることで、密着性を高める事を言います。

SUウオッシュコンパウンドなどの脱脂用洗剤を使って水洗いをすると脱脂もできて効率的です。

プラサフなどの下地剤を吹く前の足付けに使用するスコッチブライトの番手は#320を使います。

プラサフの工程が必要ない場合には#800のスコッチブライトを使用します。

脱脂

脱脂

足付けが完了したら脱脂をします。

脱脂とは、付着している油分を除去することを言います。

脱脂の方法はシリコンオフを浸み込ませたウエスで塗装面をふき取ります。

マスキング(養生)

マスキング

脱脂が完了したらマスキング(養生)をします。

マスキングとは、色を塗りたくない部分をマスキングテープや養生紙で覆い、塗料の付着を防ぐ事を言います。

養生紙は新聞紙で代用できます。

プラサフの塗装

プラサフ塗装

素材(地)やパテの後にはプラサフを塗って下地を形成します。

プラサフには錆止めの効果や塗料の発色を良くする効果があり、仕上がりの良し悪しに影響します。

プラサフの調合

①、プラサフの主剤100に対してプラサフ用の硬化剤を10%加えます。

②、①で出来た液を100として、ここに希釈用シンナーを20~40%加えて希釈します。

(プラサフに厚みを持たせたい場合はシンナーの量を減らして硬くします)

③、ストレーナーで濾しながらスプレーガンのカップに注ぎ入れたら準備完了です。

プラサフの塗装

プラサフに使用するスプレーガンの口径は1.3㎜~1.6㎜が推奨されています。

吹き付け圧力は0.1~0.25Mpaです。

塗り方は全体にまんべんなく塗ると言うよりも、拾い吹きと言って局所的に塗っていきます。

プラサフは厚みのある塗料なのでスプレー式のパテを塗るイメージで吹き付けます。

プラサフを濃く作って3回ほど重ね塗りすれば厚みを持たせる事ができます。

一度塗り終わったらしっかりと乾燥させます。

夏場なら太陽光に2時間も当てていれば完全に乾燥しますが、冬場であれば念のため一晩おいた方が良いです。

プラサフ研ぎ

プラサフが乾いたらパテと同様に表面を研ぎます。

研ぎ方は、あてゴムを使って#600~1000の耐水ペーパーで優しく研ぎます。

ソリッドカラーなら#600だけでも良いですが、メタリックやパール系は#800~1000で仕上げるようにした方がペーパー目が出にくいです。

脱脂

塗装前の脱脂

ここでもう一度脱脂を行います。

塗装前の最後の脱脂です、ここで塗装面の油分を完全に除去しましょう。

綺麗なウエスを使ってシリコンオフで拭き上げます。

マスキング(養生)

塗装前のマスキング

塗装前のマスキングをします。

やり方はケースバイケースなので特に決まりはありませんが、車の場合は屋根やボンネットなど舞い上がった塗料が降りかかるような部分には養生しておいた方がよいでしょう。

塗料を付けたくない部分がしっかりとカバーできればOKです。

塗装する部分の周囲は、新聞紙を半分に折って2重にして使用します。

仕上げの塗装は、最低でもベースカラーを2回、クリアーを2回吹き付けるので新聞紙1枚の厚さだと塗料が浸透する可能性があるからです。

仕上げ塗装

仕上げ塗装

いよいよ仕上げ塗装です。

ここで注意しなければならないのが、チリやほこりです。

塗装面に付着してしまうと、せっかくの塗装が台無しになってしまいます。

周囲を綺麗に清掃してから床に水をまいてホコリが舞い上がらないように対策をします。

ベースカラーの調合

①、色見本帳などを参考に好みの色を調合します。

②、塗料ベース100に対して硬化剤を10%加えて良く混ぜます。

③、②で作った塗料を100として、そこにシンナーを50~120%加えて希釈します。

(ソリッドカラーは50~70、メタリックやパールは100~120が目安です。)

④、できた塗料をストレーナーで濾しながらスプレーガンのカップに注ぎ入れたら準備完了です。

ベースカラーの塗装

使用するスプレーガンの口径は1.3㎜が一般的です。

吹き付け圧力は、0.15~0.2Mpaです。

①、最初は拾い吹きをします。

プラサフ跡や塗りにくい箇所から先に拾い吹きします。

この工程では綺麗に塗ろうとせず、「プシュ、プシュ」と短く数回に分けてスプレーしてプラサフ後を消したり、塗りにくい箇所に色を入れてあげます。

②、次に捨て吹きをします。

色を極めようとせずに秒速30㎝くらいの速い速度でスプレーガンを移動させて斑模様になるように塗ります。

捨て吹きをすることで、この後の色ぎめの際に馴染みが良くなり、塗料流れの防止にもなります。

③、色ぎめ

スプレーガンを秒速15~20㎝くらいの速さで水平移動させてスプレーしていきます。

2/5ほど色が重なるようなイメージで下方向に移動して同様に塗っていきます。

ひと通り塗り終わったら指触乾燥を待ってもう一度同様に塗ります。

(白や赤など色が決まらない場合は3回塗ってください)

④、最後に仕上げ吹きです。

色ぎめで使用した塗料に0~20%のシンナーを加えて塗装の肌調整をします。

メタリックの場合はここでメタリックのムラの修正を行います。

シンナーの量が増えているので「流れ」や「もどり」に注意してください。

セッティング

セッティングと言うのは、指触乾燥するまでの待ち時間を言います。

すぐにクリアーを塗りたいところですが指触乾燥するまで10分ほど待ちます。

指触乾燥とは、指で触れても塗料が付かない状態を言います。

2コートパールやメタリックカラーの場合はしっかりセッティングを行わないと「もどり」という現象が発生してしまいます。

「もどり」というのは、クリアーを塗った際にクリアーに含まれるシンナーの影響でカラーベースが溶け出してアザのように浮き出てしまう現象のことです。

しっかりとセッティングを行いましょう。

クリアーの塗装

クリアー塗装

クリアーの調合

①、クリアーベース100に対して硬化剤を10%加えて良く混ぜます。

②、①で作った塗料を100として、そこに希釈用シンナーを5~20%の範囲で加えます。

③、できた塗料をストレーナーで濾しながらスプレーガンのカップに注ぎ入れたら準備完了です。

シンナーの量が多いほど「流れ」や「もどり」が発生しやすくなります。

クリアーの塗装

使用するスプレーガンの口径は1.3㎜~1.4㎜を推奨です。

吹き付け圧力は2.0Mpaです。

拾い吹き

クリアーの塗装もベースカラーと同様に塗料の付きにくい箇所から拾い吹きします。

クリアーの仕上げ吹き

スプレーガンを秒速15~20㎝くらいの速さで水平移動させてスプレーしていきます。

2/5ほどクリアーが重なるようなイメージで下方向に移動して同様に塗っていきます。

ひと通り塗り終わったら指触乾燥を待ってもう一度同様に塗ります。

1回目の塗装肌の状態を見てシンナーの加減をしてください。ザラザラな肌な場合はシンナーを少し加えると良いでしょう。

乾燥

乾燥

通常は、塗り終わってから10分のセッティング後に赤外線ヒーターで20分の強制乾燥を行います。

しかし、DIYで作業を行う場合には赤外線ヒーターは用意できないと思いますので太陽光を利用して乾燥させます。

気温が20℃以上の日に太陽光で3時間以上の自然乾燥を行います。

5月~10月くらいの晴れた日なら太陽光に2時間程あてて乾燥させると強制乾燥並みの効果を得ることができます。

冬場などの気温が20度に満たない時は、なるべく沢山の太陽光を当てて丸2日ほど乾燥させると良いでしょう。

また、赤外線を放つ石油ストーブやハロゲンヒーターを使用する事で強制乾燥に近いの効果を得ることができますが、火事に十分注意してください。

磨き仕上げ

磨き

仕上げ塗装を行った後の塗装面は一見すると平らに見えますが、よく見ると細かな凹凸があります。

この凹凸を塗装の肌と言うのですが、この塗装の肌を他のパネルと同じに合わせるのは至難の業です。

熟練した職人さんでも完璧に合わせるのは難しいとされています。

磨きの工程では、塗装の肌を均一に整えることで塗装面に光沢をあたえます。

ペーパーを使って塗装肌を調整する

#1500~2000のペーパーをあてて塗装肌を合わせます。

空研ぎでも水研ぎでも構いませんが、水研ぎの方が研ぎキズが深くならないので同じ番手の場合ペーパーの目が消えやすくなります。

コンパウンドで艶出しをする

できあがり

ポリッシャーを使用してコンパウンドで艶を出して仕上げます。

①、荒めのコンパウンドでペーパー目を消します。

②、中目のコンパウンドで全体を磨きます。

③、仕上げコンパウンドで仕上げます。

④、最後に軽く拭き上げたら、できあがりです。

ウレタン塗装のまとめ

まとめ

ここまでスプレーガンを使ったウレタン塗装について説明してきました。

私も今回初めて自宅でやってみましたが、ポイントを押さえて作業すれば自宅でも問題なく塗装ができることが分かりました。

もちろん塗装ブースなどの本格的な設備がないので、ホコリが付いてしまうリスクはありますが、塗装をする前に床に水をまいてから作業するなどの工夫をすれば大丈夫です。

何と言っても仕上がりは缶スプレーとは比較になりません。

ご自身で車やバイクのレストアをされる方や本格的な仕上がりを追求される方にとってもおススメです。

是非チャレンジしてみて下さい。

今後は、ぼかしの方法やその他の小技、裏技、手抜きの方法などお伝えしていけたらいいなと思っていますので、もし良かったらまた遊びに来てください。

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