この記事では元塗装屋の私がおすすめの剥離剤について解説しています。
バイクや車の再塗装をDIYでやりたいとお考えの方や、レストアに挑戦している方の参考になれば幸いです。
なぜ車の塗装を剥がすには剥離剤が必要なのか?
ペンキはラッカーシンナーで簡単に落とすことができますが、車の塗装をラッカーシンナーで落とそうとしても簡単には落とすことはできません。
なぜなら車に使われる塗料にはガソリンなどの揮発性の液体が付着しても剥がれないように完全硬化した丈夫な塗装が施されているからです。
しかし、剥離剤を使用することでこのような完全硬化した丈夫な塗装も楽に剥がすことができます。
塗装を剥がすにはサンダーで削って剥がす方法もありますが、広い範囲の塗装をサンダーで剥がす作業は労力を要してしまうだけでなく摩擦による熱で素材をゆがめてしまったり、錆びやすくしてしまうのでお勧めできません。
このような理由から剥離剤は車やバイクの再塗装をする際の必需品であることは間違いありません。
スケルトンM-201が最強か?!
剥離剤は多くのメーカーから様々な商品が発売されています。
中には効果をさほど感じることのできないものもあり、このような商品を買ってしまうとお金を無駄にするだけでなく時間と労力まで無駄にしてしまいます。
そこで、この記事を読んでいただいた方には多くのプロが現場で使う強力な剥離剤を紹介いたします。
その剥離剤は、ナトコ株式会社から発売されているスケルトンM-201(金属ハケ用)です。
幅広い種類の塗膜に有効で再塗装性にすぐれており自動車補修の現場ではとても重宝されています。
スケルトンM-201の使用方法
スケルトンM-201を使用する際は、防護メガネ、防護手袋を着装して作業を行います。

① 刷毛で塗装面にたっぷりと均一に塗る
② 5~15分放置して塗膜が軟化して浮き上がるのを待つ
③ 軟化した塗膜をスクレーパーでかき取る
④ 流水できれいに洗い流す
※ 厚い塗膜は1回で下まで浸透しないこともあります。その場合は2~3回繰り返し作業します。
スケルトンの適性塗膜
スケルトンM-201は一部時間を要す塗膜がありますが、どんな塗膜にも対応しています。
詳しくは以下の表を参照してください。
A-101 | M‐201 | M-301 | |
ラッカー | 〇 | 〇 | 〇 |
アクリルラッカー | 〇 | 〇 | 〇 |
メラミン樹脂焼付塗料 | △ | 〇 | 〇 |
アクリル樹脂焼付塗料 | △ | 〇 | 〇 |
水溶性樹脂焼付塗料 | △ | 〇 | 〇 |
フタル酸樹脂塗料 | 〇 | 〇 | 〇 |
エポキシ樹脂塗料 | ✕ | △ | 〇 |
ウレタン樹脂塗料 | ✕ | △ | 〇 |
アクリルウレタン樹脂塗料 | △ | 〇 | 〇 |
フェノール樹脂塗料 | ✕ | △ | 〇 |
カチオン型電着塗料 | ✕ | △ | 〇 |
シリコン樹脂塗料 | ✕ | △ | 〇 |
ビニル樹脂塗料 | 〇 | 〇 | 〇 |
油性 | 〇 | 〇 | 〇 |
スケルトンの適性素材
スケルトンM-201はアルミ素材のパーツと木材に使用すると素材が変色してしまいます。
A-101 | M-201 | S-301 | |
磨き鋼板 | 〇 | 〇 | ✕ |
梨地鋼板 | 〇 | 〇 | ✕ |
亜鉛鋼板 | 〇 | 〇 | ✕ |
黒皮鉄板 | 〇 | 〇 | ✕ |
鋳 物 | 〇 | 〇 | ✕ |
アルミ | 〇 | ✕ | 〇 |
ステンレス | 〇 | 〇 | △ |
銅・真ちゅう | 〇 | △ | 〇 |
ブリキ | 〇 | 〇 | 〇 |
トタン | 〇 | 〇 | △ |
木 材 | 〇 | ✕ | △ |
無機材 | 〇 | 〇 | △ |
アルミ素材にスケルトンM-201を使った事例
下はM-201を使用して塗装を剥離したアルミパーツです。

スケルトンM-201を使用してアルミ部品に使用すると④のように黒く変色してしまいます。
バイクのパーツにはアルミ素材が多く使われていますので、バイクのレストアでアルミパーツの塗装を剥離する場合にはS-301の使用を検討してください。
まとめ

剥離剤には様々な種類がありますが、その中でもナトコのスケルトンM-201はさまざまな塗膜に幅広く使用ができる非常に優秀な剥離剤です。
木材とアルミに使用すると変色がみられますが、アルミの場合表面を研磨すればアルミ本来の質感を取り戻すことができます。

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